2011年07月10日

Drops of Jupiter

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Train / Drops of Jupiter

 今日は普通の日記です。
前回書いたのが出来が悪く、楽しめなかったので、さらに、ゆっくりの更新にしようと思います。このブログに関しては継続させるのが唯一の目的なのでボチボチやっていこうと思います。
8月の仕事は若干ゆっくりなので、中篇か長編に挑戦してみたいけど無理だろうな〜。

 京都に行った娘も、持病に悩む娘も、どっちも今のところ踏み止まっているようです。頑張って欲しいものです。

 仕事は結果的には売上も利益も伸びているのですが、とにかく波乱が多い上半期でした。店舗周辺に同業者が2店舗出店してきました。1店舗は真横。納品先にも強力なライバルが進出してきました。なかなか手強い相手です。しかし「ピンチはチャンス」でもあります。自店のサービスや商品を見直す良い機会だと考えて長期的な視野に立って判断して行きたいと思います。
でも、まあ、不安だし前途は多難だと率直に感じます。

 CDは本当に安くなりました。レンタル落ちなら200〜300円で手に入ります。今のところそれで充分です。昨日も6枚くらい買いましたが2000円くらいしか払いませんでした。長く音楽を聴いてきたので定価で買って貢献したいところですが、なかなか金銭的に難しいです。申し訳ないけど。

 最近の人達ではTrainを良く聴きます。アーシーなコールドプレイと言いましょうかね。このような乾いた泣き節が好きなもんでしてね。

posted by sand at 06:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月03日

44

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Syd Barrett / Radio One Sessions

「昨日、ドミノを倒したよ」

44が、私に声をかけたのは、スポーツクラブのラウンジだった。彼はシャワーを浴びた後のようで上半身は裸だった。
「何年続いてた?」私は手にしていたスポーツドリンクを彼に勧めたが、44は右手を振って断り「3年」と答えた。

「良い頃合だね」私は44の隣に腰を下ろした。「まあね」44は満足そうに頷いた。
「もう始めたかい?」私は額に流れ落ちてくる汗をタオルで拭いた。「ああ。すこしばかり時間はかかったけどね。また始めたよ」

 私はスポーツドリンクで喉を潤した。「3年は彼にとって幸運だったね。良い経験で、けりが付く」44は髪を短くして精悍な感じを与えた。薄っすらと伸びた無精ひげも彼の品位を落とすほどではなかった。
 44は微かな笑みを湛えながら「誰もが私を悪魔だとか死神だとか呼ぶ。だけどね。考えてみてくれ。ドミノは最初から倒れるものだよ。それを分かった上で始めるんだ。けれど、いつしか、それを忘れてしまう」と言った。
「そして君の出番が来る」私は44に笑いかけた。
「君のドミノは何年になる?」44は真顔で私に聞いた。
「もう18年になる」私の声は緊張する。
44は笑顔を見せて「君のドミノを倒すのは、まだ先のことだよ。どのくらい先かは分からない」

 44が私の並べているドミノに指をかけている事は分かっている。彼はいつでも指先に力を加える事が出来る。一つ、倒れれば一瞬のうちに終わってしまう。3年であろうと18年であろうと30年であろうと。でも私はいつも考えることにしている。「それが終わりではない。また直ぐに始めることができる」と。
 実際、終わりなどはないのだ。その人が死んでしまうか、諦めてしまった時が本当の終わりだ。

 次に44に会ったのは早朝の路上だった。私は納品の途中で路側帯に車を止め、酒屋の前にある自販機で缶コーヒーを買い求めた。44は自販機横の植え込みに、うずくまっていた。かなり酷い状態だった。酒の匂いが強くした。私は44を抱え起こすと酒屋のシャッターの前に座らせた。冷たい水を買って彼に与えた。彼は水を飲み干した後「すまない」と口にした。

 少し落ち着いた後に彼は語り始めた。まだ夜は明け切れず、車も人も見かけなかった。私は彼の横に座って話を聞いた。
「50年以上続いたドミノだった。その人は3代目で誠実で真面目な人だった。でも真面目過ぎたんだね。頑なになり過ぎて、時代の流れに対応できなくなってしまった。それが彼を追い詰めた。でも彼は変わることが出来なかったんだね。それでドミノは倒れた。さらに悪いことに奥さんと子供を道連れにしてしまったんだよ」44は溜息をついた。
「死んだのかい?」私が尋ねると44は深くうなずいた。

 私は言葉を失ったが、なんとか彼に声をかけた。「その人が弱かったんだよ。君がいつも言うようにドミノはいつか倒れる。それをその人は受け入れられなかった。それがドミノなんだと言う事を忘れてしまった。最初から確かなモノなんか一つも無いことに気がつかなかった。その人があまりにも世の中を知らなかっただけだ。奥さんと子供の事を思えば、地面に這いつくばって、もう一度、最初から始めなければいけなかった」44は憔悴しきった目を閉じてまま、それを聞いていた。44は何も答えなかった。
 私は納品の続きもあって、彼をそこに残したまま、車に乗った。

 その後もテレビやネットのニュースで44の動きを垣間見ることが出来た。44はドミノを倒し続け、倒された者達は、また新たなドミノを並べ始める。いつ、どこで、44がやってくるのか誰にも分からない。理由も時期も関係なく、心情も言い訳も通用しない。

 ただ並べられたドミノは、いつしか倒されてしまう。44の指先からは誰も逃げられない。



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posted by sand at 05:38| Comment(0) | 超短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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