
Nick Drake - Five Leaves Left
先週から入院していた母ですが、今週はじめに退院して、近くのアパートで暮らしています。先週、主治医に呼ばれて、身体の3箇所に癌が転移していること。手術や放射線治療は不可能なので抗がん剤の治療を行うこと。治癒の可能性は無いこと。抗がん剤には相応の副作用が伴うこと等を本人立会いの場で告げられました。
母はだるそうにテーブルに頬杖をついて、それを聞いていました。
「やるかい?」と母に聞くと首を縦に振ったので、治療が始まりました。2週間おきに48時間の連続点滴で抗がん剤を流し込みます。
副作用は、意欲の喪失。食欲の減退という形で現れました。
「せっかくだから長生きしなよ」私が母に言うと。「アハハ」と母は、だらしなく笑いました。
10年数年前。私と母は憎しみ合い、傷つけあって別れました。10年後に再会した母は病院のベッドの上でした。
10年前、母は私に多額の借金を押し付けて、逃亡しました。私は、いろいろ手を尽くして1年がかりで母を自己破産させました。所謂、闇金融も含まれていて、私は何度も死ぬ思いを味わいました。
それから10年後にベットの上の母を見て、私は母を許し、母の残りの生涯を引き受ける決心をしました。10年かかって母を許す理由を探していたように思います。逃れられないのは血であり、自分という存在が育まれた場所であった訳です。
もうひとつ、私が母を許さなければならなかったのは、許すことで、私は母から自由になれる気がしたからです。血の束縛を断ち切るために母を引き受ける必要があったように思います。
母を自分の近くに呼び寄せて、私はホッとした気持ちでいます。あと、どのくらい生きられるのか分かりませんが、とにかく私は、その人を憎む必要がなくなりました。人を憎む気持ちを持つことは厳しく辛いことです。
人を愛する気持ちを持てることは、たいへんラッキーなことなのです。
ファーストアルバムの頃のNick Drakeを繰り返し聴いています。どこがどう良いのかを説明することは私には出来ません。
ただ、このアルバムの幾つかの曲に感じる、外の世界への病的な臆病さと、同時に垣間見える僅かな期待が胸を打ちます。
希望と呼ぶには、あまりに小さ過ぎる、ごくごく僅かな期待があるのです。
The Thoughts Of Mary Jane - Nick Drake
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私の父が家を出たのは、私が12歳のときでした。その後いろいろあって、やっとその原因でもある父の妻と和解し3人で会うことが出来たのはなんと30年後でした。どんだけ時間かかってるんだ自分! でもやっぱり和解は嬉しいものです。
Nick Drake、空虚な優しさが滲みます。
>私の父が家を出たのは、私が12歳のときでした
12歳ですか。そんな過酷な。志穂美さんは分かってくれてた訳だ。むしろ私が分かっていなかった。ゴメン。
なんつうか。志穂美さんと友達になれてよかったですよ。ってか救われた。ありがとう。
ITORUさん
昔から好きでしたもんね。ニック・ドレイク。私は、ようやく最近になって良さが分かってきました。遅すぎですね。