2006年03月05日

These Days(その1)

For Everyman.jpg
Jackson Browne / For Everyman

 その頃の私は、一年の大部分の時間をケロちゃんと過していた事になる。
ケロちゃんとは高校1年の頃からの付き合いで唯一親友と呼べる間柄だった。私とケロちゃんを強烈に引き寄せた共通の境遇とは、我々二人には『彼女が出来ない』と言う事に他ならなかった。

 その頃の男の子の頭の中は(基本的には今現在でも同じですが)女の子とSEXの事だけが詰まっていたと言って良い。我々二人は強烈に女の子と親しくしたかったし、SEXを渇望していた。
考える事と言えば、偶然知り合った女の子と、偶然SEXに至ると言う設定だった。偶然好みの女の子である場合が多い。
このような偶然思考が頭の中をカラカラ、カラカラと廻っていた。壊れたメリーゴーランドみたいに朝起きて、授業受けて、部活して、飯食って寝るまでの間、ずっとずっと廻り続けていたのだ。

 ケロちゃんの顔は不細工だった。それについては幾分の躊躇もない。不細工でないケロちゃんなど存在しないのだ。存在してはならない。当時に私の心の拠り所は「ケロちゃんの顔が不細工である」とうい事実の元にあったのだ。「ケロちゃんの顔が不細工である」と言う事が当時の私のアイデンティティを確立していた訳だ。
私はケロちゃんの真に不細工な顔をシゲシゲと眺め、ニタニタと勝ち誇った微笑を浮かべるのだった。
しかしながら思い返してみると、当時のケロちゃんは私の顔を不細工だと思っていたのではないかと考えられるふしもある。
それは当時の我々がお互いの顔を眺めながらニタニタ微笑み合っていたという事実に由来する訳だが。

 ケロちゃんは賢そうな顔をしていながら実の所はバカだった。私の場合は、バカそうな顔をしたバカだったので、その点においてケロちゃんより優位に立っていたと言って良い。
「賢顔バカ」は実に使えない。煮ても焼いても食えない。賢そうな顔して言う事全部バカ丸だしのケロちゃんは、バカ指数二乗にしか目にうつらなかった。ウルトラ・スーパー・バカだった訳だ。
クラスの女の子もケロちゃんに対して「嫌い」とか「邪魔臭い」とか「頭悪い」とか「恰好悪い」などの標準的な感情を抱く女の子は皆無だった。もはや「諦め」られていた訳だ。「こりゃダメだ」とサジを投げられていた訳だ。
このような当時のケロちゃんの境遇は、私にとって非常に好ましい材料だった。
ウハウハだった訳だ。

 このような記述は当時のケロちゃんが虐めの対象になっていたと思わせるのかもしれない。でも、それはちょっと違っていて、ケロちゃんは男の子からも女の子からも好かれていて人気者だった。
ただ、そのような『不遇キャラ』を割り当てられていた訳だ。
『不遇キャラ』は不遇であればこそ人気が出た。不遇キャラ自身も、その事を充分認識している。出来るだけ不遇に近づくように努めていた。不遇サイドを歩いていた訳だ。
どうして、そんな事が分かるのかって?
私も長い間『不遇キャラ』を演じてきたからだ。(恐らく今も)


 我々二人の高校時代は、一人の女の子と付き合う事もなく終わってしまった。
それらしい噂さえなかった。甘い言葉の一つさえなかった。バレンタインのチョコも1個も貰えなかった。卒業式の帰り、学生服のボタンが全部残っていたのは、私とケロちゃんだけだった。

 前記したように女の子に興味がなかった訳では決してない。
有り余っていた。余り過ぎて顔から噴出したりしていた。怒涛のようなエネルギーを秘めていた。勇猛なインド象のお鼻のようにウネウネ、ウネウネのた打ち回っていた訳だ。
SEXがしたかった訳だ。地鳴のような意欲に溢れていた。SEXが全てだった。他に重要な事なんか一つも見付けらなかった。盲目的にSEXを渇望していた。SEXが答えだった。SEXだけが私を救う事が出来たのだ。

 何故にそれほどまでの意欲がありながら実行に移れなかったかと言うと、これがモテなかったんだね〜。
こればっかりは、自分でもどうしようもない。好いてくれないんだから・・。
地団駄踏んで悔しがっても無駄。全てはモテない事には始まらない。

エロ本などを駆使してSEXに対する技術的な知識は充分過ぎる程あった訳だが、導入箇所で躓いてしまった訳だ。

続きは後ほど。長くなったね。

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posted by sand at 05:36| Comment(0) | 超短編小説B | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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