2006年03月05日

These Days(その2)

Laid Back.jpg
Gregg Allman / Laid Back

 進路が決まり卒業ともなるとロマンチックなそよ風が吹き始める。「ああ、あの方と離れ離れになる前に、一夜限りに契りをば・・(そんな女はいないけど)」などという良い雰囲気が漂ってくる。
そこかしこに愛のツボミがポツンポツンと芽吹き始める。

 私とケロちゃんもまたロマンチック始めました。ロマンチック武装する訳だ。ロマンチック・ワッショイワッショイで練り歩いたりする。
ムキムキのロマンチック・マッチョに変身したりすると、女の子は気味悪がって近づきもしなかった。

 結局、男友達の部屋に入り浸り、タバコ吸いながらエロ本読んで、大学入学までの期間をやり過ごしていた。だいたいアンニュイな雰囲気が漂う。それじゃ酒でも。なんて事で昼間っから酒飲んだりしていた。
で、だいたい女の話になる。「いや。実は俺、あの先生とやったんだよ〜」とか言い出すヤツが出る。「え〜〜。マジ〜、マジ〜。どこでヤッタの?どんなシチュエーション?体位は?体位?」とか興奮しながら根掘り葉掘り聞き出したりする。

 その日も、そんな感じで男衆6人と酒を飲んでいた。
それほど親しくも無かったけど卒業が決まると妙に名残惜しい気持ちになる顔ぶれだった。
まず良い男が二人。何も言う事はございません。公然の彼女と公然と付き合ったりしてる公然男だ。「お前ら、もう良いよ。勝手にしてくれ。銀河の彼方まで飛んで行ってくれ!」って気持ちにさせられる実に不愉快の男達だ。どうして、そんなクソ男と酒を飲んでたのか憶えてないけど、公然と付き合ってる女の子を呼び捨てにするのが何より許せなかった。
「ほらほら、ユキがさ〜」とかサラッと言うんだ。これが許せない!
「ユキさんって呼べよ〜!よしんば呼ぶんなら重厚に呼んでくれよ〜〜!サラッとじゃ、あんまりだよ〜」なんて事を心の中で叫んだりしていた。

 それで私とケロちゃん。残りの二人が問題だ。モテるのかモテないのか、今一つ把握してしない。
モテない男がいたら大ハッピー。手に手を取り合って仲良くしましょう。とにかくモテない男が、そばにいて欲しかった。少しでも勇気付けて欲しかったのだ。
一人は「バボ」と呼ばれていた小柄な男だ。ザッと見た所「Cランクの上」と言った所か、充分、期待を抱かせる素材だった。
顔がとにかく、まん丸だった。頭はクリクリ坊主で言う事がなかった。これだけなら何も心配する必要などなかった。
しかしだ。私を不安にさせる要素を「バボ」は有していた。産まれながらに見に付けていたのだ。
それはだ・・

「バボの瞳が星空のように輝いている」事だった。
まん丸顔にポッカリと黒くて深遠な瞳が浮かんでいるのだ。「バボ」の瞳を見ていると男の私でさえ心を奪われてしまう。深遠な瞳の奥へと吸いこまれてしまうのだ。
 ん〜〜かなり際どい線だが、バランスが悪いのは間違いない。瞳を、どう評価するかが焦点になる。ま〜来ても安い線だろうと。私はたかをくくった。

 最後は「トド松」。こいつは不細工も不細工。文部省推薦つきのターボ装備した不細工だ。
顔は間違い無くトドだ。アゴが何重にもなっている。鼻の穴が広がってる。目が米粒大しかない。
楽勝だ。8回コールドでも勝てそうだ。
しかし、しかしだ。不安要素が一つだけある。
「トド松」がメランコリーだと言う事だ。
トド顔して青い便箋にメルヘンを書き殴っている。これが不気味だ。
休み時間、何だ、かんだ言われて強引に読まされた。メルヘンをだ。
青い便箋に小さな丸文字でメルヘンが書きこまれている。
タイトルは、こうだった。

「出逢いpartU」

「出逢い」だけなら許してやっても「partU」は許したくなかった。
って言うかトドなんかに出逢いたくねえ〜んだよ〜〜!!でした。

 まあ、そんなこんだで飲んでると、どうしても女の話になる訳だ。
その日は、間の悪い事に「SEX遍歴を披露」とか言い出した。「順番に言おうよね。言おうよね」とかトド松のヤツが仕切っている。
「トドのくせに仕切るんじゃねぇ〜〜よ!バカが〜〜!」とか心の中で叫びながら、ニコニコ笑っていた。

 さ〜大変。議題は「SEX遍歴を披露」に決まってしまった。
順番が問題。最後だと、最後だと。廻ってくる前に死んじゃう。だって恥ずかしいんだも〜〜ん。

私は誰よりも先に勇ましく挙手して、こう宣告するのでした。

「はい!ではワタクシから行きます!ワタクシ未だ童貞であります!チンカス拭いて眠る毎日です!」
それだけ告げて失神してしまった。遥か彼方から「クスクス」と乾いた笑い声が聞こえてくるけど、もうどうでも良い。もう、どうでも良いの・・。


まだ続くのか。トド松の箇所が書きたいんだ。続きは明日にでも。


再度よろしゅう。人気blogランキング


posted by sand at 17:28| Comment(0) | 超短編小説B | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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