2005年02月20日

さらば赤塚真人の光

赤塚真人.jpg

私と妻は、途方に暮れていた。
家賃の滞納でアパートを追われ、それぞれの実家は、多額の借金の連帯保証人になっており、今となっては寄りつく事など出来なかった。

我々は12月の寒空の下。市内の公園で肩を寄せ合って震えていた。
二人のお金を合わせても1000円にも届かなかった。
我々には、もう赤塚真人しか無かったのだ。

私は、胸ポケットから赤塚真人を1個取りだし、震える手でマッチをすり赤塚真人に火を付けた。

赤塚真人は、パチパチと勢い良く燃え上がった。
我々は、赤塚真人の光りに手をかざし、暖を取った。
赤塚真人を見ていると心が安らいだ。決して派手な光では無かったが、穏やかで、暖かい光を赤塚真人は放った。
我々は、頬を寄せ合って、その光に包まれた。
やがて赤塚真人は、その光を弱め、次第に姿を闇に消し去った。

急に過酷な寒さが襲って来た。
我々は、この世界に行き場所を無くした事をまじまじと思い知り、絶望感の中に引き戻された。もう先が無いのだ。

私は、最後の赤塚真人に火を灯した。
posted by sand at 11:23| コラム・有名人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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