2005年02月27日

Simple Twist of Fate

dylan1975.jpg ゥ転ヤ.jpg

埼玉ネコは、時々ウチの店の近所に出没する野良猫だ。
どうして、そのネコが埼玉ネコと呼ばれるようになったかは、以前聞いたのだが忘れてしまった。

先日、夜中にゴミを外に出していたら、偶然、角を曲がって来た埼玉ネコに出くわしてしまった。埼玉ネコは、立ち上がって2本足で歩いていた。
彼は、「シマッタ」と言う表情をしたが、そのうち、どうでも良いと言う顔をして、腕を組んで壁に寄りかかった。

「儲かりますか?」埼玉ネコは、私に聞いた。
顔は、こちらに向けずに通りの向こうを眺めている。

「いや〜。なかなか厳しいですよ。」私は答えた。

「ずいぶんゴミの量が多いみたいだけど」埼玉ネコが言った。

「はは。出るのはゴミばかりで、利益の方は、お恥ずかしい。」私は言った。

「以前、自転車乗りをやってましてね。」埼玉ネコは、唐突に切り出した。
「猫町って、ご存知ですか?私は、そこで自転車乗りの仕事をしてましてね。人間界で言う乗合バスのようなものです。自転車にリヤカーを取り付けて猫を乗せて運ぶ仕事です。
自転車に乗れる猫は、数少ないので、ずいぶん、儲かりましたね。
ウチの家は、代々、その仕事を受け継いできたのです。」埼玉ネコは、誇らしげに言った。

今日は、急ぎの仕事が入ってて時間の余裕は無かった。
「そうですか。それは、うらやましい。それでは、私は、これで。」

私は、そう言って急いで店の中に入った。
埼玉ネコは、また、ここに来るだろう。
私には、分かっているのだ。すでに「運命の、ひとひねり」が加えられた事が。

 彼はかまうことはないと自分にいいきかせ
 窓を大きくあけて
 空虚を中に感じた
 それは彼がかかわることのできない
 運命のほんのひとひねり
  「Bob Dylan/Simple Twist of Fate」
posted by sand at 16:17| 超短編小説・埼玉ネコシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。