
ドアの前で待っていた二人の男は、声を揃えて「ようこそ、Rotters' Clubへ」と呼びかけた。
一人の男は、名刺を差し出した。
The Rotters' Club広報部
友 見
私は、夜勤の仕事を終えて自宅まで帰って来た所だった。午後の3時過ぎ。
友見と言う男は、長身で長く伸ばした髪を後で結んでいる。黒ブチのメガネをかけ、不精髭が目立つが、かなりの男前だった。
もう一人の男は、身長が低く、痩せて皺だらけの冴えない顔をしている。
ひどく落ちつきのない目を、していて、始終キョロキョロと辺りを見まわしている。
「こちらは、坂田さん」友見と言う男は、背の低い男の紹介をした。
「はじめまして。坂田と申します。プリンカフェ「DUKE」のオーナーをやっています」
坂田と呼ばれる男は、物凄い早口で自己紹介をした。
「あなたは怜子と言う女性をご存知でしょうか?うさぎプリンを好む女性です」
坂田と呼ばれる男は、私に、そう聞いてきた。
「怜子という女性は知りません」
私は、しばらく考えてから返事をした。
「私は、某大学の研究室でロリポップ猿の研究をしています。」今度は、友見と名乗る男が自己紹介した。
「ロリポップ猿ですか・・」私は訳が分からなくなった。
「我々は同志なのです。売れないサンドイッチを延々と作り続ける貴方は、ろくでなしクラブへの参加資格を満たしている事が判明しました。ほととぎすクレヨンは、その挨拶状です」
友見と名乗る男は満面の笑みを浮かべて、そう話た。
「答えは、わかっているはずです。我々は、そこにはあるが、そこにあるだけの存在なのです」友見と名乗る男は、そう言って私の手を握り締めた。