2005年03月09日

We are the Village Green Preservation SocietyA

Phobia.jpg

玲子さんは、私が運転する車に乗っていた。
車内には、93年の「Phobia」が大音量で流れていた。

「あのね〜〜!ど〜〜して小学校の<うさぎ>とか連れて行くの〜〜!」我々は大声で話をした。

「バカ言うな!!解放だよ!解放!連れてくんじゃねぇよ〜!!」玲子さんは、怒鳴った。

「あ〜疲れる。ボリューム下げるわ。」私は、ボリュームを下げた。
「で、どうして小学校のペットを解放する?」私は聞いた。
「そこに小学校が、あるからさ。」
「ウソだ。さっき動物園は暗いから嫌だって言ってたやん。」
「そんな事言ってない!解放とは、時と場所を選ばない。そう言う事だ。」
「しかし、飼育してる小学生は泣くぜ」
「バ〜〜カ!別れの辛さを知って、また1つ大きくなるのさ。小学生。」
「あんた、そんな性格じゃ、絶対、社会で通用しないよ!」
「ふん!度胸と美貌があれば、だいたいの橋は渡れるのさ。」
「むぐぐ・・」
私は、言葉に詰まった。確かに玲子さんは、綺麗だった。
私は、その美貌に、まいっているのだった。
性格の悪さにも、まいっていたが・・。

小学校に着いて、我々は、うさぎ小屋を探した。
うさぎ小屋は、すぐに見つかって、鍵もかかていなかった。
玲子さんは、うさぎ小屋に入り込むと中にいる一匹の<うさぎ>を抱いて外に出てきた。私も一匹連れていこうと中に入りかけると、頭を叩かれた。早く行くぞと玲子さんは、手で合図した。

車に戻って、私は玲子さんに聞いた。
「どうして、一匹しか解放しないんですか?それじゃ解放とか言わないよ。誘拐だよ。誘拐。」
「どあほ!私は一匹しか抱けないの!私に10匹も20匹も抱けって言うのかよ!無理だよ!」
「だから、それって誘拐じゃないですか?せめて2〜3匹は解放してもらわないと」
「バカだよ!おまえ!解放とは、人それぞれ、与えられた容量ってのがあるんだよ。80メガの容量の人が100メガの解放とか出来ないの。そういうの何って言うのか知ってる?君、知らないよ。絶対。そう言うのはね。<ありがた迷惑>って言うんだよ。」
「絶対、違う!そんな言葉使わないよ。その用法、間違ってるって!」
「うるさいわね!もう解放場所に着いたよ。」

我々は、市民の森に到着して、<うさぎ>を野原に放った。
でも<うさぎ>は、どこにも行かず、その場で、キョトンと立ち尽くしている。
私は、玲子さんの肩を抱いて、もう行こうと促した。

しかし、玲子さんは、いつの間にか、ポロポロ涙を零している。
そのうち、「あ〜〜可哀想な<うさぎ>さん。私が保護してあげる〜〜。」とか言って、<うさぎ>を抱きかかえた。

帰りの車には、玲子さんと抱かれた<うさぎ>が一緒だった。
「ちょっと、それって、絶対、犯罪だよ。盗難だって」
私は、玲子さんに言った。
「バカヤロウ!薄情者。<うさぎ>は、一度、私によって解放されたの。その後、私に無事、保護されたんだよ。盗難じゃねぇよ!」
「本当にバカなんだから・・」私は小声で言った。

そのうち玲子さんは、<うさぎ>を抱いてスヤスヤ眠ってしまった。
その寝顔が、あまりにも可愛かったので、玲子さんの頬に、こっそりキスをした。
それを<うさぎ>が、ぼんやり見ていた。
私は、<うさぎ>に向かって中指を立て「今日からライバルだな。」と小声で言った。
posted by sand at 02:57| 超短編小説・怜子物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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