2005年03月13日

Nebraska(1982)Bruce Springsteen

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Nebraska


「バトンを回しながら彼女は前庭の芝生の上に立っていた。俺と彼女はドライブに出かけ10人の関係のない人間を殺した。」Nebraska

82年、ヒットした「The River」に続くアルバムは、アコースティック・ギターによる弾き語りだった。
地味な呟くような歌唱と爪弾く最小限の伴奏。嫌が上でもウディ・ガスリーや初期のディランのスタイルを思わせた。


「俺達がしたことに対して、後悔なんてしていない。少なくともしばらくの間、楽しい思いをしたんだから」Nebraska

しかしながら、歌われている内容は、最も血生臭く、八方塞のバイオレンスが漂うものだった。英雄に祭り上げようとする、ミュージック・ビジネスへの面当てのようでも、次第に自分の立ち位置が曖昧になっていく事への恐れのようでもある。彼は、身につけた全ての装飾を剥ぎ取り、裸で荒野に立とうとする。

「やつらはなぜ俺がこんなことをしたか知りたがった。この世には理由なくただ卑劣な行為というものがあるんだよ」Nebraska

ただ、これらの楽曲には、深みや身を切るようなリアリティが感じられない。
そこには「放り投げられた暴力性」みたいな物を感じる。ある意味、彼は焦っていたし、煮詰まっていたのかもしれない。
しかし、それが同時に風通しの良さにも繋がっていて、以降に見られないスピード感がある。フォーク・スタイルの楽曲の中で、もっともR&Rを感じる作品と言えるのかもしれない。このアルバムの評価は意外にも高く。このアルバムだけのトリビュート盤さえ作られるほどだ。
私自身、フォーク・スタイルのアルバムの中では最も頻繁に聴いている。

「辛い1日の終わり。まだ人は信じる理由を見出そうとする。」Reason to believe

終曲の最後のバースで、ようやく見せる弱々しい肯定は、そのまま次作「Born in the U.S.A.」に繋がって行く。そこで得た最大級の成功と陳腐なパブリック・イメージの生成は、後々にも彼に重くのしかかる事になる。
posted by sand at 05:22| 音楽コラム・Bruce Springsteen | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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