2005年03月19日

Greetings From Asbury Park, N.J.(1973)Bruce Springsteen

Greetings From Asbury Park.jpg
Greetings From Asbury Park, N.J.

「そして彼女はあの光で目がくらみ。すごい勢いでもうひとりの夜のランナーを切り離した。あの光で目がくらんで。ママがいつも言っていた。太陽を見つめるんじゃないよって。でもママ、そこにおもしろいことがあるんだ。」Blinded By The Light

「完結したファースト・アルバム」「エレガントな浮遊感」。
Bruceのファースト・アルバムを聴いて感じる事だ。どんなアーティストにも言える事だが、ファースト・アルバムは、その後の展開から切り離された独自のポジションにある場合が往往にして見うけられる。Bruceの場合もまた、しかり。このアルバムは、当初フォーク・アルバムとなるはずだったのを、Bruceの猛反対でバンドサウンドを伴ったアルバムに変更された。しかし、それは彼の意図を充分汲み取る形ではなかった。
結果的に以後の、どのアルバムとも違う質感をかもし出している。Bruceの意図する物ではなかったとはいえ、これはこれで充分完成された作品だと思う。

「メアリー、ぼくの女王、きみのやわらかい残骸が生き返る。」Mary Queen Of Arkansas
「その女性は、みがきあげられたクロームをなで、天使の骨のそばに横になる。」The Angel

この2曲の弾き語りナンバーに顕著のように実に女性的でエレガントな歌詞、ティム・バクリーを思わせる官能的で浮遊感に満ちたサウンド。これらに見られる特徴は、猥雑で喧騒に満ち男性的な彼のその後の世界感からは、置き去りにされたような感じさえ受ける。

「そして地下鉄の賢人が生ける屍のようにすわっていた。線路がリズムから飛び出すと連中の目がじっと前を見つめ、バランスの線に乗り、たった1本の糸にしがみついている。」It's Hard To Be A Saint In The City

これらは、即座にディランの歌詞を思い起こさせるが、ディランの歌詞が、様々な言葉の断片から、ある一つのイメージを想起させるのに比して、ここでの彼の言葉は、飛び散る火花のように、弾けるような鮮明なイメージを提示して、すぐさま消えて行く。
この爆発する言葉は、以降次第にフォーカスを絞り込み、やがては物語に変わる。

さて、Growin' Up、Spirit In The Nightなどの、その後のショーで重要な位置を占めるナンバーは、著しくライブ感に乏しい録音と言わなくてはいけない。
しかし、It's Hard To Be A Saint In The Cityは、このアルバムでしか出せないような品のある仕上がりで素晴らしい。

知名度の高いBlinded By The Lightも、やはり演奏の練り込み不足を暴露してしまっている。このバージョンならば、大ヒットしたManfred Mann's Earth Bandバージョンをおすすめしょう。優れたポップ性を有しながら広がりのあるスケールの大きなバージョンだ。彼らには、この曲以外にもFor You、Spirit In The Nightのカバーがある。

「でも おれはそんなもののために やって来たんじゃない。おまえにもわかってるはずだ。おれはおまえのために来たんだ。おまえのために。」For You

そう、彼はやって来た。我々のケツを蹴飛ばしにね。
posted by sand at 16:48| 音楽コラム・Bruce Springsteen | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。