2006年11月05日

秋色のKINKS(End Of The Season)

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The Kinks / Something Else by the Kinks

 根拠のない事なんだけど、KINKSは『秋』と『雨季』のイメージがあるんです。

 私が一番好きなKINKSの時期は、「Face To Face」「Something Else by the Kinks」「The Kinks Are The Village Green Preservation Society」「Arthur Or The Decline And Fall Of The British Empire」の頃なんですね。ビート・バンドから脱却して郷土に根ざした独自の世界観を確立する時期ですね。まだ手探りでコンセプト・アルバムやロック・オペラの手法を試している段階で、蒼く美しい印象的な楽曲が未整理のまま散りばめられています。そんな書きかけのスケッチ画を覗き込むような、ワクワクする楽しさに満ち溢れている時期ですね。
 また、この時期は自然をテーマにした曲が多くて、すごく身近にKINKSってバンド(レイ・ディビス)を感じさせてくれたりもします。まったく関係無いけど(でもないか)中期のDoorsにも同じ物を感じます。

 中でも「Face To Face」と「Something Else by the Kinks」が最も愛聴度の高い作品です。前者には愚図ついた雨空のイメージがあり、後者には物悲しい秋のイメージを感じます。もっとも、根拠がある訳ではなくて(それらしい曲名はあるけど)全体から受ける印象でしょうか。

 「Something Else by the Kinks」は決定的な名曲「Waterloo Sunset」に代表されるように自然や景色をテーマにした楽曲が多数収録されていて、この日本で生活していても、レイ・ディビスと同じ視点で曲を楽しむ事が出来るような気がするのです。

「Death Of A Clown」「Two Sisters」「No Return」と続く前半部分も何とも言えず良い感じなのですが、「Love Me Till The Sun Shines」から「Waterloo Sunset」へと至る(アナログだと)B面は完璧な構成だと思うんです。なんか世界観が小さいんですよね。こう書くと魅力がないみたいだけど、そうじゃなくて『小さな小さな幸せ・小さな小さな哀しみ・小さな小さな喜び』みたいなものを生き生きと描写しているんですね。
 永遠に色褪せないテーマを蒼くて美しい楽曲で表現していたんじゃないかな。それが、ものすごく物悲しい由来でもあるんですけど。
 1967年頃のロック・シーンで、こんな盆栽好きの御爺さんみたな世界観を魅力的に描ける人は、レイ・ディビスが筆頭だったと思います(追随する人も少なかったけど)

 とにかくアナログ時代は、そのB面ばかり繰り返し聴いていました。最初に買い求めたKINKSのアルバムでもありまして、もう20年以上愛聴していますが、まったく飽きないどころか、年々深みが増しているような気がするんです。

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 それで「End Of The Season」。

 去って行く恋人と冬の訪れを淡々と歌いこんだ、とても美しくて哀しい曲です。
秋になると思い出すのは、決まって、この曲なんです。

 枯葉が舞う季節になると「End Of The Season」を思い起こし、KINKSの季節が始まります。

 少し厚めのセーターを着こんで、「Something Else by the Kinks」をCDトレイに乗せる。窓の外では落ち葉がヒラヒラと舞っています。熱いホット・チョコレートでも飲みながらレイ・ディビスの溜息に耳を澄ましましょう。
 
 そういうのが正しいKINKSファンの秋の過ごし方だと言えるかもしれませんね。
あるいは、まったくの見当違いかも?


posted by sand at 17:08| Comment(6) | TrackBack(2) | コラム・音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
END OF THE SEASON・・いい曲だな。自分の秋が深まるからキンクスの60年代後半に浸ってみることにします。今度の一人ドライブのBGMはキンクスにします。
Posted by ITORU at 2006年11月05日 19:51
>小さな小さな幸せ・小さな小さな哀しみ・小さな小さな喜び』みたいなものを生き生きと描写しているんですね。

そうなんですよね!レイ・デイヴィスが他の天才と決定的に違う種類の天才なのは、この「小さな小さな」感情を、一つ一つ丁寧に拾い上げて描き出す、という点だと思います。しかも天才が上から見た小さな世界ではなく、レイも同じ地平で感じてる小ささ、なので、聴く側の心にとても響くのだと思います。ロック界に天才は数多いですが、これはもう、ほぼレイだけの視点じゃないでしょうか。ロックとは特殊な世界を表現するものじゃないんだと、わたしはキンクスを通して知りました。

わたしもキンクスは雨(夏の始め)と秋、というイメージがあります。レイジーで物悲しい。Something Else by the Kinksはわたしも大のお気に入りです。このアルバムを初めて聴いたとき、あ〜なんでわたしが一番好む世界がそのままレコードになってるんだろう?と本気で驚きました。やはりレイを他人とは思えません(勝手に思っとけってか・笑)

End Of The Season、いい曲ですね〜。そうそう、The Great Lost Kinks Albumもこれまた大好きなアルバムです。Lavender Hill やMister Songbird を聞いたときは泣きました。マジで。極めつけはWhere Did My Spring Go?ですね〜あまりに切なくて呆然としました。何度聴いても胸が締め付けられます。
Posted by tallulah at 2006年11月06日 00:26
ITORUさん

>自分の秋が深まるからキンクスの60年代後半に浸ってみることにします

良いですよね〜。60年代のキンクス。是非、聴きましょう。

tallulahさん

まいど。KINKS出勤ご苦労様です。呼びに行こうと思ってましたが、早速のご訪問ありがとうございます。

>一つ一つ丁寧に拾い上げて描き出す、という点だと思います。

そうそう。それタルさんが、いつも話してるからパクりました。ゴメン(^O^)

>ほぼレイだけの視点じゃないでしょうか。

熱いね〜。

>ロックとは特殊な世界を表現するものじゃないんだと、わたしはキンクスを通して知りました。

燃えてるね。そうだ!そうだ!その通り!

>キンクスは雨(夏の始め)と秋、というイメージがあります。

おお〜。やはりそうですか。筋金入りのファンが言うなら間違いないでしょう。

>あ〜なんでわたしが一番好む世界がそのままレコードになってるんだろう?と本気で驚きました。

私はですね。最初、聴いた時、面白くなかったんですよ。退屈だな〜ってね。ボウィみたいな盛り上がりなかったし。ダラダラしてるし。
でも昔のレコード1枚は貴重でしょ。それで必死に聴いたんですよ。そしたらある突然分かったんですよ。凄いんだ〜とかね。

>やはりレイを他人とは思えません(勝手に思っとけってか・笑)

やっぱりオチがあった。さすが関西人。業ですね。

>The Great Lost Kinks Albumもこれまた大好きなアルバムです。

あ、これも秋口かな?春先でも良いね。
今、聴いてますよ。

>Lavender Hill やMister Songbird を聞いたときは泣きました。マジで。

これは名曲ですよね〜。こんなのが埋もれてるなんて信じられなかったですね。

>極めつけはWhere Did My Spring Go?ですね〜

う〜ん、この曲も素晴らしいね。私はローズマリー・ローズ好きです。哀しいですよね〜

今日もキンクス・デーでしたよ。聴いたのは「スリープウォーカー」「ミスフィット」「ワード・オブ・マウス」。アリスタ時代の秋口用ですね。単に元気がないアルバムだけど(^O^)
Posted by sand at 2006年11月06日 15:28
私もキンクスで特に好きな時期はsandさんと一緒です。
でも、私はちゃんと歌詞の内容まで意識して聴いてるわけじゃないから、レイ・デイヴィスの本当の魅力には気づいてないんでしょうね。
たまには歌詞の内容も多少はチェックした上でその時期のキンクスを聴きながら、うちの近所のド田舎道をウォーキングしようかな。
Posted by PTR at 2006年11月08日 05:08
この時期から、レイ・デイヴィスは天才の本領を発揮するんですよね。そして、作品の美しさと反比例するかのようにぐんぐん下がる売上げの悲しさよ。
sandさんの書かれた2枚のアルバムは、私も大好きです。久しぶりに「Waterloo Sunset」を聴きたくなりました。
Posted by nyarome007 at 2006年11月11日 01:43
こんにちは。

nyarome007さんのトラックバックは、以前読ませて頂いていましたよ。そして、このエントリーでパクらせて頂きました(^_^;)すいません。

読後に何とも言えず鮮やかな印象が残りますよね。良い文章だな〜。
リンク先の方も個性があって面白いですよね。こっそり拝見しているんですよ。

>ぐんぐん下がる売上げの悲しさよ。

売れなかったでしょうね。聴く方は呑気に聴いてられるけど、やってる方は大変だったでしょうね。よほど自信とか確信とかが無かったら、こんな世界をずっとは描けないでしょうね。
いやはや素晴らしい人です。レイ・ディビス。あるいは根っからの偏屈者か(^_^;)

>「Waterloo Sunset」

僕は「シルバー・ピストル」が聴きたくなりました(^_^;)
Posted by sand at 2006年11月11日 03:49
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ウォータールー・サンセット
Excerpt: ? The Kinks /Waterloo Sunset(1967年作) ボクが十代半ばの頃、キンクスが好きだなんていうと、相当に変わり者という目で見られ、ちょっとロックを知っているやつからは..
Weblog: AFTER THE GOLD RUSH
Tracked: 2006-11-11 01:44

私的100選?The Kinks「Something Else」
Excerpt: サムシング・エルス(紙ジャケット仕様) ザ・キンクス 最近はまた少し湿った暑さが続きますが、季節は徐々に秋へと近づきつつありますね… 「秋」を感じさせるアルバム…これがまた難題。秋だ..
Weblog: 4番、サード、いたち野郎。
Tracked: 2007-09-10 01:33
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