2005年05月28日

島かおりのいる場所(冷たい空から500マイル)

島かおり.jpg

昼メロが好きだ。
いい歳こいた大の男が、昼メロにメロメロって訳だ。
それはそれとして、昼メロ好きは今に始まった事ではなくて、ずっと昔。
昭和40年代くらいまで遡る事になる。

小学生の夏休み。お昼ご飯を食べに外から家に帰ると、ばあちゃんが冷麦を用意してくれてた。
蝿除けの日傘みたいなパラソルがちゃぶ台にかけられてて、あれは何故か避暑地の情事を思わせたりした(そんな小学生いないって!)。
扇風機の風を受けながら、冷麦をズルズルすすっていると、だいたいテレビには昼メロが映ってた。
今なら「笑っていいとも」なんかが映ってるんだろうけど、当時は、ベルトクイズQ&Qが終わると「金銀パール、プレゼント」な花王の昼メロを見る必要があった。

昼メロには、ドロドロ路線とか下町人情路線とか数種のパターンが用意されてた(今の私は下町人情路線ファン)。中でも最もインパクトがあったのは「可哀想路線」だった(小学生なので、これが一番理解しやすかった)。
その「可哀想路線」で一際、可哀想だった女優が<島かおり>さんだった(あと、堀越陽子さんもファンだった)。

島さんの目は、いつでも怯えたようだった。なんだか世界の不幸を一手に集めたような目をしていた。ずっと、ずっと深い所で絶望しているような目だった。
遠い、遠い、寒くて冷たい凍えきった国で、長くて厳しい暮らしを続けて来たような目をしていた。

「あなたの事は全部丸ごと見えるわよ。でも、私は何も言わないわ。ただ私は知ってるだけ。知り続けるだけ」島さんの目からは、そんな言葉が伝わって来るような気がした。

つい先日まで放送されていた「キッズ・ウォー」シリーズには、おばあちゃん役を演じる<島かおり>さんが登場していた。
随分、歳を取られただろうに、今でも充分お綺麗だ。ちょっと不気味と言っていいほど美しい。

おばあちゃんになられた島さんの目は、昔と同じように冷たく沈んでいる。

暗い海底の奥深く、海に飲み込まれた沈没船のように、彼女の瞳は冷たい世界に閉じ込められたままだ。

あるいは、冷たい空から500マイル。そこには永遠に時刻が訪れない。
posted by sand at 15:31| コラム・有名人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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