2005年06月11日

暗黒星の秘密F

LIONEL RICHIE 2.jpg

「何故、左腕を狙う必要がある?」埼玉ネコは、エリザベスに聞いた。
「それは仕事の話が決まってから。今は話せない。」

「何を必要としている?」埼玉ネコは、もう一度聞いた。
「ライオネル・リチ男。あなたは、よくご存知よね」

ライオネル・リチ男は、この界隈の裏社会に君臨するボスだ。彼の経歴は謎に包まれている。どこからともなくやって来て瞬く間にトップに立った男だ。まだ若いが抜群に頭が切れる。度胸もある。
でも彼が恐れられる理由は、それだけではない。彼には特別な力があると言われている。魔術の類だ。でも、それを見た者は誰もいない。一人残らず抹殺されたからだ。

「ライオネル・リチ男が、魔術師ロイ・ハーパーの魂を受け継ぐ者と疑っている訳だ?」埼玉ネコは言った。

Roy Harper.jpg

「わからない。でも彼は恐ろしい男よ。政治や経済の分野にも少しづつ手を伸ばして来ている。私達は彼をマークしておく必要があるわ。」

埼玉ネコは、ソファに深く座り直し天井を見上げて言った。
「ライオネル・リチ男が相手だと分が悪いな。ヤツは手強い男だ。ヤツの仕掛けた罠だとすると、それを掻い潜るのは容易ではない。代償は高くつくよ」
エリザベスは、うなずいてハンドバックから切れるように真新しい小切手を取り出して、埼玉ネコの前に置いた。

そこには、普段、彼らが請求する額より2桁大きい数字が並んでいた。
埼玉ネコは、小切手をアライグマ男の座っている方向に指し示した。「ひゅ〜」小切手の金額を見てアライグマ男は口笛を鳴らした。

「どう?」エリザベスはチャーミングに笑って聞いた。
「俺達は、ある種のプライドの元に運命を切り開いて来た。それは行動における規範とも呼べる物だ。
<美人と小切手を失望させるな>それが規範だ。」
埼玉ネコが、そう言うと、エリザベスはニッコリ微笑んだ。

「OK。契約成立ね。これから起きる事は他言出来ません。あなた方はプロよね。
まず、港の繁華街で占い小屋を開いている<Funkadelic>のお婆さんの所で話を聞いて欲しいの。
今夜、連絡を入れておくわ。4人の左腕を狙う理由を教えてくれるでしょう。彼女は詳しく知っているのよ。昔からの事をね」

「最後に一つだけ聞いて良いかな?何故、俺達なんだ?他にも腕利きは沢山いるだろう?」
埼玉ネコは、ソファから立ちかけたエリザベスに言った。

「父からの要請よ。父は、あなたを良く知っている。例え、あなたが父の事を知らなくても。
父のような立場の人間にとっては容易い事なのよ。良くも悪くも都合の良い立場だって事よ。」
それだけ言い残すとエリザベスは部屋を出て行った。
posted by sand at 17:26| 連作小説・暗黒星の秘密 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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