2005年08月05日

Razor Sharp・キレル奴

RAZOR SHARP.jpg

キレが悪い。
昔から、まったくキレがない。キレとは無縁の人生を過ごしてきた。

まずもって言葉がキレない。モゴモゴしている。何言ってるのか自分でも分からない。
次に頭がキレない。炭団のように、まるで動こうとしない。脳みそに元気がない。日曜日の午後のようにグッタリ疲れ果ててている。
さらには、札束がキレない。ジクジク意気地がない。1000円札1枚でさえ思い切りがつかない。
3000円も払おうものなら1日塞ぎ込んでしまう。旅立った3000円を哀しみ、残された数千円を想う。

歳と友にキレのなさに拍車がかかっているようだ。
坂道を転がり落ちるように日々是キレなくなって行く。

便器を見たまえ!マイ・ブラザー。
なかなか小便がキレないではないか!
ああ。若き日のピッと出してジョボッと排水してピチャと切ってボヨンと仕舞う。
あのリズムは、何処に行ったの?

母さん、あのリズムですよ。
アン・ドゥ・トロワ♪アン・ドゥ・トロワ♪
母さん、僕のオチンチンを引っ張りだして教えてくれましたね。
アン・ドゥ・トロワ♪アン・ドゥ・トロワ♪

ああ、あのリズムですよ。全ては、緑に包まれた山間で、人知れず流れ落ちる滝の調べのように静寂と流暢さの中にありましたね。
なにもかもが、つつがなかった。
有るべきものが有るべき場所にあるように、何の不安も感じなかった。

おお!それが、どうだ。マイ・ブラザー。
歳月と言う不遜な戯れは、我々に何を植え付けた。

それは<不確かなメロディ>と<歪なリズム>。臆面もない執着。退けられた合理性。
我々の小便は、いつから我々の手を離れてしまったのでしょう?
いつが始まりで、いつが終わりなのかが、さっぱり分からなくなっているではありませんか!

いつの間にかジョロジョロ。いつまでもジョロジョロ。
まるでキレがない。
そこには終わりがない。始まりさえない。

いつの頃からか我々の小便は、廃屋の壊れた蛇口のように、ダラダラと垂れ流され続けているのです。

耳を澄まして下さい。マイ・ブラッド・ブラザース。
聞こえるでしょ?あなたのオチンチンからオシッコがジワジワ染み出している音が。

さあ。今こそ我々のスローガンを高く高く掲げましょう。
「病院行こうか。マイ・ブラザー」
posted by sand at 18:20| 超短編小説A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。