2005年09月27日

納豆への長い道のり

納豆.jpg

吉野家で朝飯を食う。

男に課せられた重要な任務だ。背負わされた宿命と言っても良いだろう。
烈火のごとき情熱が「吉野家で朝飯を食わせろ!」と叫んでいるのだ。
まさに自己のアイデンティティを掛けた壮絶な闘いが、吉野家のオレンジの看板の下で繰り広げられているのです。

さぁ。その戦場に私がご案内いたしましょう。

さて最初の関門だ。
オーダーをチョイスする必要があるのです。早速、男の真価を問われる場面だ。
吉野家も、この男がどの程度の男なのか値踏みしているわけですね。

吉野家の朝食メニューは「焼魚定食」「納豆定食」「特朝定食」の三種。

まず「特朝定食」は、納豆も焼魚も入ってる一見贅沢なセットだが、これを選択するようでは、男として、おしまいだ!
「八方美人」「日和見」「意志薄弱」「優柔不断」「良い所取り」と口汚く罵られても致し方あるまい。自業自得。身から出た錆び。(決して、金がなくて羨ましいからではない)

さて残るは「焼魚定食」「納豆定食」の二品。
「焼魚定食」を選択した、あなた。
あなたは、サワヤカでエレガントな好青年のはずです。コンビニで買い物した時、お釣りの1円玉を義捐金に寄付出来るような決断力のある人です。
飲み終わったコーヒー缶を、そのままポイとゴミ箱に投げ入れる事が出来る清潔感溢れる人です。決してズーズー最後の一滴まで啜り取ってから捨てるような事はしません。
実に羨ましい。

その点、私は「納豆定食」派なのです。残念な事に。
ネチャネチャ、昔の事を引き摺ってるタイプでして。何事もネバネバ切れが悪くてハッキリしないタイプでして。グチャグチャ問題に首を突っ込んで掻き回すタイプでして。

焼魚派のオーダーは切れが良い。
「おう!兄ちゃん。焼魚!並盛り!お茶、熱いヤツ頼むわ!」と実にサワヤカ。瑞々しい。まるで春風のよう。

納豆派のオーダーは、まるで切れが無い。
「あ〜の〜、よろしければ〜納豆定食いただけませんでしょうか〜。いやいや。無理しないで。ほんと。ほんと。無かったら帰りますから。ほんとに〜良かったら、お願いしたいな〜なんて・・」
と実にジメジメ。胸糞悪い。まるで梅雨の長雨のよう。

さぁ〜これから食べます。納豆派の貴方も巻き返しのチャンスです。
吉野家の朝飯の闘いとはスピードだ。速い者が勝つ。速さが美徳。

さぁ品物が来る前に、箸を割れ!お茶を左端に移動しろ!鼻息を上げろ!唾液全開!胃袋を鳴らせ!
指定の品物が到着して各者一斉にスタート!

焼魚前に出た。焼魚順調に伸ばした。納豆遅い。納豆出遅れた。

そうです。納豆定食は手続きが多い。
まず、納豆のパックを覆ってるシートを剥がす必要がある。これが、なかなか剥がれない。
その後、納豆パックに入っている醤油の包みと辛子の包みを取り出し、納豆を直接覆っている中敷きのシートを取り出す。
そして、刻みネギを納豆に投入して醤油をかけて、辛子を垂らす。ここから掻き混ぜる作業へ移行する。この作業を疎かにするとネバリが決定的に不足して納豆ダイナニズムが損なわれる危険性がある。慎重の上にも慎重をきしたい。

さぁ、ご飯の上にドバッと載せる。ホカホカ湯気を上げるご飯にプリプリした納豆が圧し掛かる。実に美味そう。
それから、またしても掻き混ぜる作業が必要となる。生卵だ。醤油を垂らしてグリグリ掻き混ぜよう。慌ててはいけない。慌てると卵がはねてシャツに、かかってシミになるぞ。

よく掻き混ぜた生卵を、納豆ご飯に上からドワ〜と注ぎ込もう。ん〜納豆がツヤツヤ輝き始めた。
まだ作業が残っている。味付け海苔のパックを破って小皿の上に海苔を並べ、上から醤油を注ぐ。

これが納豆定食・準備作業の全工程だ。長い。長過ぎる。

焼魚定食は、とっくに食い終わって爪楊枝で歯をシーシー言わせている。

納豆定食の完敗だ。勝者を羨みながら納豆をズルズル掻き込むしかない。

朝の吉野家では、かくのごとく闘いが繰り広げられているって言うか、納豆の全戦全敗。
(この文章も長過ぎて完敗)

関係ないけどPortisheadの「Dummy」。
納豆みたいにネバネバしてて美味しいです。
Dummy.jpg
Portishead / Dummy


posted by sand at 16:05| Comment(2) | コラム・食い物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
吉定は過去に二度だけ食ったことがある。もちろん「焼魚」と「納豆」だがsandさんのような拘りはない。単に納豆と魚が好きなだけ。「特朝」食ってなくて良かった。辛うじて男。
それはいいとして、吉定のご飯って不味くない?牛丼は味が濃いせいか、まったく気にならないのに、定食だとやけに不味いのが分かる。といっても7〜8年ぐらい前のことだから今は変ってるのかな?
そういう私は昔、吉野家でバイトしてました。たしか時給650円だったけど当時は他所より良かった。正月(大晦日を含め4日間)は時給が1200円。もちろん昼食は牛丼食べ放題。
どちらかというと特定の店でなく派遣要員。なぜか1日中 客で混雑するような店や酔っ払いの多いところばかりに出張させられる。梅田の馬券売場の近くや日本橋(電気街)日曜日だから酔っ払いが多い。新世界なんて酔っ払いしかいないのか?と思ってしまうような街。「しょうが全部食ってもタダか?」なんて訊ねてくる客がいた。「全部食えるもんなら食いやがれ!」と思ったが笑顔でニコ!「うどんあるか?」とか「わしスプーンで食いたいねん」なんていうオッサンもいた。
Posted by TWANG at 2005年09月27日 21:10
>吉定は過去に二度だけ食ったことがある。

え!意外。やっぱり元大金持ちだったか。

>辛うじて男。

女だと気色悪いから男で良いですよ。

>吉定のご飯って不味くない?

あれは朝なら食える。昼と夜は辛い。
朝食うと、あのシンプルさが良い。
もう少し豪華な朝定もあるが、小賢しい小鉢など邪魔。ホテルの和朝食なんか、こじゃれてて嫌(バイキングは別です)

>定食だとやけに不味いのが分かる。

朝食うと魔法のように美味くなるから不思議。
でも納豆とかタマゴとか混ぜないとご飯は美味しくないですね。

>たしか時給650円だったけど当時は他所より良かった。

ウチのパートさんは655円で雇用している。福岡県の最低賃金。

>正月(大晦日を含め4日間)は時給が1200円。

今年のそのバイトに行って年を越そう。

>もちろん昼食は牛丼食べ放題。

これは今となっては貴重。豚丼は馴染めないね。
豚生姜焼き定食は、まあまあ美味い。

>どちらかというと特定の店でなく派遣要員。

当時からフラフラしてたのか。

>新世界なんて酔っ払いしかいないのか?

福岡にもありますね。その手の場所。
吉野家より黒田屋(大阪にあるかな)がヒドイ。
ムチャクチャ荒んでいる。大人しく隅に座って、酔っ払いの話を聞くのは面白い。だいたい人を何人殺したとか自慢している。

>笑顔でニコ!

さすがに大人。当時からモテモテだったのか(モテモテって言葉、死語なんだって。今は何て言うのか娘に聞いておこう)

Portisheadの「Dummy」ってTWANGさんなら好きかもしれませんよ。暗いエヴァネッセンスって感じかな。ルーズな女性ボーカルが、かなり良い(全てはロシアンの手の内に)
Posted by sand at 2005年09月28日 16:02
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