2005年11月24日

Only The Lonely

MOTELS.jpg
The Motels / Classic Masters

僕とロミ郎は、二人で車に乗っていた。
僕は学生で、暇で貧乏で、その上、世の中の事が何も分かっていなかった。

ロミ郎はホモだったが、僕に対しては、そんな感情を見せた事がなかった。
僕らは二人とも極端な無口で、その点において気が合ったのかもしれない。

ロミ郎の車で本屋に行った帰りに、ロミ郎はふと「M海岸が見たくないか?」と聞いた。
M海岸は、ここから車で半日はかかる距離にあった。
「行こうか」僕は簡単に返事をした。なにしろ死ぬほど暇だったのだ。

夕方、街を出て、深夜の道を走った。
車の中では、お互い、ほとんど無言だった。なんと言うか心地良い無言だ。
僕は孤独であって孤独ではないような気持ちで、暗い窓の外を眺めていた。
その頃、付き合っているような、そうでもないような女の子の事を考えたりしていた。
ロミ郎は、どんな男と付き合ってるのだろう?誰かが年配の紳士だと噂した事があった。
僕には、ロミ郎がずっと大人に見えていた。

明け方、M海岸に着いた。
僕らは、重い身体を引き摺るように砂浜まで歩き、砂の上に腰を下ろして朝焼けに染められた海と空を眺めた。
ロミ郎は近くから缶ビールを買って来た。
僕らは砂の上で、それをチビチビと飲みながら黙って海を眺めていた。

いつしか僕は砂浜で眠ってしまったようだ。気がつくとお昼を過ぎた時刻になっていた。
ロミ郎は、眠らずに海を眺めていたようだ。

軽く昼食を取ってから、どこにも寄らずに来た道を戻り始めた。
僕の身体のあちこちには、砂が入り込んだようで、ひどく不快な気分だった。
ロミ郎も疲れているようで、運転がいつになく荒かった。

帰りの道程の半分を過ぎた頃に日が暮れてきた。
夜の道を、残り数時間走り続けるのは、二人とも気が重くなっていた。

前方に「モーテル」のネオンが見えた。
ロミ郎は、僕の顔を見た。「泊まっていこう」僕は無造作に言った。

ロミ郎と僕は、モーテルの部屋に入った。
ロミ郎は、早々にお風呂に行ってしまった。
僕は、その部屋一面を占拠するような大型円形ベットの前で途方に暮れていた。

今夜、僕の貞操が犯されるような事があるのだろうか?僕はゾワゾワと胸の奥に悪寒を抱えて立っていた。

「おまえも風呂に入れよ」ロミ郎はバスローブ姿で僕に告げた。

僕は黙って、その言葉に従った。入念に股間を洗いながらロミ郎は入れる方なのか入れられる方なのか、聞いとけば良かったと後悔した。
僕は、いつもより長々と透明の浴槽に浸かりながら、これまでの人生を振り返ったりした。
今夜、何もかも変わってしまうのかもしれない。僕は諦めのような期待のような不確かな心持で、お湯に身体を浸していた。

お風呂から上がると驚いた事に、ロミ郎はアダルトビデオを見ながらオナニーをしていた。
「ああ。お前、ホモってにはウソだったのか」僕は思わずロミ郎に声をかけた。
「いや。この男優エッチな身体してるだろ」ロミ郎は、股間を両手でしごいていた。
両手で持っても、まだ余るような巨根をしているのだ。
僕は「痛〜」と、うめいてお尻に手をあてた。

「大丈夫。心配するなよ。おまえに変な事しないように抜いとくから。俺の数少ない友達だしな」
ロミ郎は、股間をしごきながら、そんな事を言った。

僕は、ロミ郎が気の毒になった。自分のようなダメ人間でいいのなら抱いてくれても良いのに。とさえ思った。

ロミ郎は、モニターに映し出された男優の逞しいお尻を見ながら、うめき声をあげて射精したようだ。
テッィシュで股間をふくと、そのままソファに横になって「俺、ここで寝るよ。お前はベッドで寝ろ。おやすみ」と告げて、目を閉じた。

すぐにロミ郎の寝息が聞こえてきた。
僕はロミ郎の寝息を聞きながらベットに入った。有線のチャンネルを回すと、モーテルズの「オンリー・ザ・ロンリー」が流れた。

ロミ郎は多分、眠ってはいないだろう。ロミ郎は僕の事が好きなのかもしれない。
でも僕は…。
僕は、誰が好きなのか分からない。
誰を愛する事が出来るのだろう?
誰と一緒なら寂しくなくなるのだろう?

ごみ捨てから、ロミ郎の精液の匂いが漂ってきて、僕は吐きたいような泣きたいような気持ちで目を閉じた。
posted by sand at 17:55| Comment(12) | TrackBack(0) | 超短編小説・ロミ郎シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
どう考えても大切な記憶でもないのに、へばりつくように頭に残ることってありますよね。
やたら記憶に残ることって、あまりドラマチックなことよりも、情けなさが付きまとう。ですんで、私は、ストーリー急展開型の話より、ディテール過剰追及型の話のほうが好きです。
自分にホモの友人はいないけど、この、ロミ郎って、リアリティあるなあ。なんて、あまりディテールは想像したくないけど(笑)
主人公より、この人物のほうが、「こんな顔で、こんな声?」というイメージ湧きました。いつも脇キャラに惹かれます。
Posted by ring-rie at 2005年11月28日 00:46
まいどです。読んでもらってありがとう。
この前、メールもどうもです。

>情けなさが付きまとう

情けない話にしか興味がありません。なんでやろ?

>ディテール過剰追及型の話のほうが好きです

ナンバーワンは、志穂美さんです。沖縄の旅行記読みたい。

>ロミ郎って、リアリティあるなあ

ホモは理解出来るっていうか、一時期自分はホモじゃないかと真剣に悩んだ時期がありました。で、結局ホモでした。ってなんだそりゃ。
男より女が好きなんですが、ホモならホモで良かった。

時々男同士が手をつないでスーパーとかに買い物に来てるの見るけど、良いな〜とか思いますね。なんや親密な感じで見ていて微笑ましい。

男が好きなのか。女が好きなのか。女性にも迷う時期があるのかな?

少なくともring-rieさんは迷わないだろう。
ボウィよりマーク・ボランが好きって言ってたし。
結構、ごつい男が好きなんじゃないかなring-rieさんって?(ボランは、ごついのか?)
Posted by sand at 2005年11月28日 15:58
メールしたときは、躁と鬱がダブルで押し寄せていたので、おかしなこと書いたかもしれません。あ、いつもおかしなことしか書いてないか。(一人ツッコミ癖が治りません)
ここんところ、ワケあって暇はあるんですが、自分の書きたいもののの10分の1もアップできてないことで、けっこう悩んでます。

>結構、ごつい男が好きなんじゃないかなring-rieさんって?
どひゃ〜なんでボランからそういう話になるのかいなあ?
実物知りませんが、ヤセチビ典型では?
私の場合、ヤセチビ、ヤセ貧相が基本かも。

黙ってた方がいいかと思うけど、ごつい男でカッコいいと思ったのは、安岡力也さんだけです。それも、内田裕也主演の「ああ女たち、猥歌」という、ちょっとご紹介しにくいジャンルの映画の助演で出てた彼が好き。(「ああ」は嗚呼と漢字だったかな)
ビデオ屋で処分品でもあれば見てください。でも、彼は脱いでませんので、ご心配なく。情けない映画ベストに入ると思います。いや、それを越えるというか…。

>ナンバーワンは、志穂美さんです。沖縄の旅行記読みたい。

なるほど。私も更新を楽しみにしてます♪
Posted by ring-rie at 2005年11月28日 19:51
わたしはてっきりsandさんは100%ストレート果汁(濃縮還元)な男性だと思ってたので、このお話を読んだときに、ゲイじゃない男の人が書くゲイテイストの話って珍しいな、って思ったんですけど、

>ホモは理解出来るっていうか

あっそうなんですね。
ストレートな生活だけど、そういうのが理解できる男性、っていないと思ってたので、新鮮です。ウチのダンナなんかゲイは絶対理解できない!っていう人だから。

>女性にも迷う時期があるのかな?

普通はないと思います(笑)
でも同性を好きになるのはアリと思います。わたしは経験ないけど、女性を好きになる可能性は絶対ないとは言い切れない、ってのはずっと思ってました。結局なかったですけど。やっぱおとこまえがヨイですわv
相手の性別よりも、どれだけ純粋に好きになるかの方が大事じゃないですかねぇ。
なんてねぇ、最近いろいろ考えるんですけどねぇ・・・・・・

でも、気の毒だから、ってロミ郎に抱かれちゃいけないですよ(笑)ロミ郎かわいいから。傷つけちゃダメなひとだわ。

ring-rieさん、
わたしも安岡力也、けっこう好きです(笑)イタリア系だからかな?ハンサムですよね。
Posted by tallulah at 2005年11月29日 00:34
ring-rieさん

>躁と鬱がダブルで押し寄せていた

想像もつかない精神状態(^O^)

>おかしなこと書いたかもしれません。

何、言ってるんですか。7割は理解できましたよ(^O^)ウソウソ全部わかりました。ありがとうございます。

>自分の書きたいもののの10分の1もアップできてないことで、けっこう悩んでます。

書けないときは書かないのが一番。無理して書いても楽しくないからですね。
書かないと決める無償に書きたくなるから不思議。

>実物知りませんが、ヤセチビ典型では?
私の場合、ヤセチビ、ヤセ貧相が基本かも。

え、ボランってポッチャリしてなかったっけ?
また貧相好きですか。貧相好きの不幸丸抱えギャルが多いです。80年代ロックファン。

>安岡力也さんだけです。

それは黙ってはおられませんね。確かに力也さんは甘いマスクですね。

>「ああ女たち、猥歌」

おいおい!どーゆーシチュエーションで観たんだよ!(^O^)

>「ああ」は嗚呼と漢字だったかな

そうそう。観た事ないけど。

>情けない映画ベストに入ると思います。いや、それを越えるというか…。

そうですか。機会があれば見たいけど、アーバンなシティライフをおくってる僕には縁のない世界かも。「実録・阿部定」は物のはずみで観てしまったけど。

>私も更新を楽しみにしてます♪

これは旦那様の活躍を期待したいですね。今ごろ空の上かも。
Posted by sand at 2005年11月29日 16:19
tallulahさん

>100%ストレート果汁(濃縮還元)

搾りたてかよ!

>新鮮です。

取れたてかよ!

>ウチのダンナなんかゲイは絶対理解できない!っていう人だから。

それが普通でしょう(^O^)
実を言うと恋をした男性は、中学の時にデビット・シルビアンさん対してでした。まだ髪の長い頃の麗しい瞳に狂おしいほど恋心を抱いたのです。ああ。好きだったな〜。当時は真剣に悩んだのでした。
そんな事で、大阪のキンクス・ファン以上にバカな過去を持ってます。

>普通はないと思います

やっぱり!

>相手の性別よりも、どれだけ純粋に好きになるかの方が大事じゃないですかねぇ。

さすがです。妄想によって鍛えられた力強いお言葉。涙でモニターが見えません。

>なんてねぇ、最近いろいろ考えるんですけどねぇ・・・・・・

ろくな事、考えてないって事ですね(^O^)

>安岡力也、けっこう好きです

今までの貴方の好みから対極にありますよ。
オンコチーナ(ラテン系)には適当でしょう。
Posted by sand at 2005年11月29日 16:31
こんばんは〜! まだしばらく雲の上はないです。

ロミ郎大人気ですね! 勿論私もロミ郎派v
陰影のある男性はカッコイイです。
だいたい、「ロミ郎」って名前からしてすごくイイですよ。「ロミ夫」じゃなくて良かったv

デビシルラブなsandさん、素敵です。
案外彼の良さは女性陣(含私)より男性の方が素直に理解できるのかも知れません。
私はビジュアルではとにかくビョークにラブです。
あと、電車の中とかでも「素敵!」って思うのはすべて女性ですね。綺麗な女の子は大好き。男は基本的にどーでもいいんですが、味わいのあるおっさんや枯れ切ったじーさんは好きです。(・・って、誰も聞いてないってば)

>貧相好きの不幸丸抱えギャル

若気の至りだったんです。忘れて下さい。
Posted by 志穂美 at 2005年11月29日 21:50
賑わってますね!嫌がらせのためにしょうもないことを書き込もう(うひひ)

この話を読んでうちのダンナの高校時代の話を思い出しました。漁師町のむちゃくちゃ男らしい奴の家に泊まったとき、やはりこの「僕」のような気持ちになったそうです。アイデンティティの危機を感じたそうです。

私の付き合う男は大抵、人生で一度はホモに襲われています。映画館とかはよくある話ですが、凄かったのは、銭湯で知り合って1年も友達でいて家に行ったら実は…って話だったな。もうそれって恋愛じゃん。と思いました。
ところで私はあまり女性の肉体には興味がないんですが、「窓のない男湯はクサイから入らない」といううちのダンナよりは、同性が好きだと思います。女湯楽しいし。

>貧相好きの不幸丸抱えギャル

私のことじゃないですね?ring-rieさんと志穂美さんのことですね。ああ良かった。
Posted by ショコポチ at 2005年11月29日 23:09
tallulahさん>
あらら、力也ファンって、意外にいるんですねえ。励まされた(笑)
ハンサムか…うむ〜そうかも知れない。
ただ、やはり、tallulahさんのイメージではなかったですよん。

>貧相好きの不幸丸抱えギャル
志穂美さん>
いやあ、ピカピカの好青年より、そっちを選ぶのがフツーでしょう。
ショコポチさん>
知らんふりはズルいですよ(笑)
ちゃんと仲間に入っといてくださいまし。

sandさん>
アドバイス通り、書けないときは書かないようにしますね、ありがとう。

それと、「嗚呼! オンナたち、猥歌」は神代辰巳監督の名作ですんで、ジャンルなんぞは忘れて下さい〜(ポルノそのもんですが)撮影は、姫田真佐久だったと思います。当時、おもろい日本映画は、ATG、東映セントラル、日活と決まっておった(やしきたかじん風断言)
あまり力説すると相当支障があるので、この話題はこれまでです(笑)
Posted by ring-rie at 2005年11月30日 02:11
志穂美さん

>まだしばらく雲の上はないです。

お、週末からかな?お気を付けて。

>「ロミ郎」

ロミ山田大先生から拝借しました。
「ロミ夫」は、もちろん考えましたが恥ずかしいので、やめました。

>デビシルラブなsandさん、素敵です。

一般社会では「変態」と呼ばれる方が多いです。

>男性の方が素直に理解できるのかも知れません。

ん〜。女でもないし、男でも無かったから。当時は。

>ビョークにラブです。

え!そうなんですか。ビョークは、そんなに好きじゃないけどTWANGさんが好きだと言ってたな。

>綺麗な女の子は大好き。

タルさんも言ってたな。私も男の子を見るほうが多いです。単に女の子をネチネチ見つめてると怪しまれるから。

>味わいのあるおっさんや枯れ切ったじーさんは好きです

そりが貧相系の女の証。

>若気の至りだったんです。忘れて下さい。

根に持つ性格なんです(^O^)
Posted by sand at 2005年11月30日 17:14
ショコポチさん

>賑わってますね!

保育園のバザーかよ!ウソです。ありがたい事です。

>漁師町のむちゃくちゃ男

これは肉感的な男ですね。私はゲイバーでは全然モテないけど、真性ホモな方にはモテるようです。社会人ラクビーのゴツいプロップ(スルラム最前列のポジション)の先輩に、なめるように見つめられてお尻を撫で回された経験があります。

>私の付き合う男は大抵、人生で一度はホモに襲われています。

ろくな男と付き合っていないって事ですね。

>もうそれって恋愛じゃん。と思いました。

「恋愛じゃん」って言い方が渡辺美里しててオジサン泣いています。

>私はあまり女性の肉体には興味がないんですが

ないない。普通ないない。

>同性が好きだと思います。女湯楽しいし。

女湯で何をやってるんですか?オジサン知りたくなっちゃった。

>私のことじゃないですね?

あんたの為の言葉だよ。ビックシスター。
Posted by sand at 2005年11月30日 17:24
ring-rieさん

>アドバイス通り、書けないときは書かないようにします

あら、これhじゃ余計な事言っちゃたかな?
でも書ける時になったら書けますよ。実力あるし。

>「嗚呼! オンナたち、猥歌」は神代辰巳監督の名作です

あ、そうでしたか。ジャンルは熟知しています。

>おもろい日本映画は、ATG、東映セントラル、日活と決まっておった

ATG・日活は、まだしも東映セントラルでまたまた泣いてます。どこまでもマイナーな方。

ATGは「青春の殺人者」と「田園に死す」と「ツィゴイネルワイゼン」を思い出します。
「本陣殺人事件」も、そうか。金田一は中尾彬だった。「サード」とか「遠雷」も良かった。
ああ。もう一回観たいね。
Posted by sand at 2005年11月30日 17:37
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