2005年02月19日

双子座のブランコ

buranko.jpg

夕暮れの街を、アダルトビデオをぶら下げて、自分の部屋に帰ろうとしていた。

アダルトビデオの選択は、ある者にとって、大仕事なのだ。
ある者とは、好き者とも言える。

本日の戦利品は上々だった。ライトな満足感が、身体を支配している。

アダルトビデオは、3本1組でレンタルする事が、ある者達の中では鉄則とされた。
2本は、固い線をキープし、残りの1本は、新規開拓・飽くなき挑戦に充当された。

新規の物件がハズレても、残りの固い線で水際を押さえる戦法だった。
しかしながら、ごく稀に3本全滅の忌々しき事態に遭遇する事がある。
ある者達は、悔しさで、枕を噛み締めながら、悶々とした一夜を過す事になる。

しかしながら、その日は、充分なリサーチと各傾向を取り混ぜた理想的な選択だったのだ。

ある者は、公園のブランコに腰掛けて、ビデオのパッケージを眺めながら充実感に浸っているのだった。

「君は、スケベだね〜」隣の誰も座っていないブランコが、キコキコ揺れながら声をかけてきた。
「はあ。よく言われます」ある者は、照れくさそうに言葉を返す。

「実は私もスケベでしてね。俗に言う<ロリコン>って言うのかな。小さい女の子が好きでしてね。それで、こんな商売をしているんですよ」ブランコは噛み締めるように自身の思いを語り始めた。
「良い歳をして恥かしいんだけど、どうにも、やめなれなくてね〜」ブランコは溜息混じりに、そんな事を言った。
「はあ、よく分かりますよ」ある者は、心からの理解を示して、そう告げるのでした。

「ああ。君は良い人だね。世の中で嘘が無いのは、スケベな事を話してる時だけだよ。君は、そうは思わないかい?」ブランコは、ある者に聞いてきた。
「はあ、どうなんでしょう。スケベである事は、理屈がいらないから、楽だとは思いますけど。
人様の迷惑になっては、いけませんがね」ある者は、弱々しく、ブランコに語った。

「ははは。我々には最低のプライドがあるのさ。最低のだけどね。」ブランコは笑った。

「ところで、私は双子座なんだけど、君は?」ブランコは、唐突に聞いた。
「はあ、私も双子座ですが」

「そうか〜、やっぱり双子座か〜。そうか〜」
ブランコは揺れながら、ひとりごとのように呟いた。
それは、<夜>の少し手前の事でした。
posted by sand at 13:16| コラム・物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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